過大役員報酬とは?どこからが否認される?判例から見る判断基準と税務リスク
役員報酬は定期同額給与のルールを守れば損金算入できます。
しかし、もう一つ重要な論点があります。
それが「過大役員報酬」です。
形式的にルールを守っていても、
金額が不相当に高いと判断された場合、その超過部分は損金不算入となる可能性があります。
この記事では、
- 過大役員報酬とは何か
- どこから否認されるのか
- 判例で示された判断基準
- 親族役員の場合の注意点
を解説します。
過大役員報酬とは?(法人税法の考え方)
法人税法34条では、
役員に対する給与のうち、不相当に高額な部分は損金算入できない
と規定されています。
つまり、
- 定期同額給与を守っている
- 議事録を作成している
といった形式要件とは別に、
金額の妥当性が問われるということです。
過大かどうかの判断基準は?
「いくらまでなら安全」という明確な基準はありません。
税務上は、総合判断となります。
主な判断要素は次のとおりです。
- 会社の売上・利益規模
- 同業類似法人の役員報酬水準
- 役員の職務内容・責任
- 業績への貢献度
- 他役員とのバランス
私の個人的な経験上、税務調査にて否認されている事例は実際にはそこまで多くないのかもしれませんが、過去の判例において実際に争いになったときに特に重視されるのが
同業類似法人との比較
です。
最高裁昭和60年12月18日判決の枠組み
過大役員報酬の判断基準としてよく引用されるのが
最高裁昭和60年12月18日判決
です。
この判決では、
- 会社の規模
- 事業内容
- 収益状況
- 同業類似法人との比較
- 役員の職務内容
などを総合的に考慮すべきと示されています。
つまり、
単純な金額基準ではなく、客観的事情との比較で判断する
という考え方です。
同業比較で否認されるケースとは?
同業他社よりも高額とは、例えば、
- 売上1,000万円規模の会社
- 同業他社の代表報酬が月40万円前後
という状況で、
月200万円の役員報酬を支給している場合は差額の160万円が、過大ですよということです。その分は損金算入が否認されてしまいます。
・・・・・。
でも読んでくださっているあなた、変だと思いませんか?私はすごーく変だと思います。
なぜなら、同業他社の報酬なんて普通の人は知り得ないですから。。。。もちろん私も知りません。
でも今の日本のルールはこうなっていますので、しょうがないです。実際は調査単位で「高いな」と調査官が思えば相場を調べて比較するということなんでしょうけど、こういったルールにするなら、相場を開示するのとセットだと思いますけどね。。。。
親族への役員報酬は特に注意
お客様からの質問でも多いのが、
「親族に対する役員報酬」という論点です。
実務上も、税務調査で確認されやすいポイントです。
- 名目上は役員
- 実際の業務実態が乏しい
- 高額報酬を支給
この場合、
過大役員報酬としてのリスクが高まるのは間違いないでしょう。
判例でも、
報酬額と職務実態の対応関係
が重視されています。
否認されるとどうなる?
過大と判断された部分は損金不算入になります。
その結果、
- 法人税の増額
- 修正申告
- 過少申告加算税
- 延滞税
といった影響が生じます。
役員報酬は金額が大きいため、税額への影響も大きくなります。
よくある質問
Q. 役員報酬はいくらまでなら過大にならない?
明確な基準はありません。
同業類似法人との比較は難しいかもしれませんが、まずは職務内容の説明可能性が重要です。
Q. 親族を役員にして報酬を払うのは違法?
当然ですが違法ではありません。
ただし、職務実態と報酬のバランスが重要です。
まとめ
- 過大役員報酬は損金不算入となる可能性がある
- 判断基準は同業比較・職務実態・業績などの総合判断
- 最高裁昭和60年12月18日判決が基本枠組み
- 親族役員は特に慎重に設計する必要がある
どのような場合においても、説明できる水準で設計することが重要です。