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法人成り後の源泉所得税で注意すべきポイント|納期の特例・納付期限・支払時の注意点を解説

2026.03.30

法人成りしたばかりの経営者にとって、源泉所得税は見落としやすい実務のひとつです。
個人事業主のときはあまり意識していなかったとしても、法人になると会社が「支払う側」として源泉徴収を行う場面が出てきます。

特に注意したいのは、制度そのものよりも申請漏れ・納付漏れ・支払ミスです。
設立直後はやることが多いため、つい後回しになりがちですが、最初に仕組みを整えておくことが大切です。

この記事の要点まとめ

  • 法人成り後は、会社が源泉徴収義務者になる場面がある
  • 納期の特例を使いたいなら、申請書はできるだけ早く提出する
  • 納期の特例を使っても、7月10日と1月20日の納付を忘れてはいけない
  • 給与や税理士など個人への報酬は、満額ではなく源泉所得税控除後の金額を支払う
  • 外注費は一律ではなく、納期の特例の対象外となるものもある
  • 非居住者との取引は、通常の国内取引とは別ルールで確認が必要

法人成り直後の源泉所得税で、まず押さえるべきこと

法人になると、会社は「支払う側」として源泉徴収義務を負う場面が出てきます。

個人事業主のときは、事業主本人に給与を払うという考え方は通常ありません。
一方、法人では会社と社長個人は別です。社長に支払う役員報酬や、従業員に支払う給与は、会社から個人への支払いとして扱われます。

そのため、法人になると会社が所得税を預かって納める立場になる、という点が大きな違いです。

法人成り直後の実務で特に怖いのは、「制度を知らないこと」よりも「分かっていたつもりで処理を誤ること」です。
設立直後は、口座開設や社会保険、会計処理などやることが多く、源泉所得税の対応が後回しになりがちです。だからこそ、最初に基本の流れを整えておく必要があります。

まず最優先でやるべきは納期の特例の申請

法人成り後の源泉所得税で、まず強く意識したいのが納期の特例の申請です。

源泉所得税は、申請をしなければ原則として毎月、支払月の翌月10日までに納付しなければなりません。
設立直後は毎月の納付管理が負担になりやすいため、要件を満たす場合は納期の特例を早めに検討したいところです。

納期の特例を使うと、源泉所得税を年2回にまとめて納付できます。
そのため、法人成り直後は申請書をできるだけ早く提出することが重要です。

ここで注意したいのは、納期の特例は自動で適用されるわけではないことです。
申請が遅れると、その間は原則どおり毎月納付が必要になります。

法人成り直後の経営者には、まず「納期の特例を使うかどうか」ではなく、使う予定なら先に申請しておくことをおすすめします。

7月10日と1月20日の納付を忘れない

納期の特例を使うと、源泉所得税の納付は年2回になります。

具体的には、次のスケジュールです。

  • 1月から6月分は7月10日まで
  • 7月から12月分は翌年1月20日まで

ここでよくあるのが、「年2回なら楽になる」と思って安心してしまうことです。
確かに毎月納付より管理はしやすくなりますが、納付義務がなくなるわけではありません。

むしろ、回数が減ることで忘れやすくなるケースもあります。
特に1月20日は、年末調整や法定調書など他の業務が重なりやすい時期です。

そのため、納期の特例を使う場合でも、

  • 7月10日
  • 1月20日

この2つの日付は、年間スケジュールに必ず入れておくべきです。(税理士によってはアナウンスしてくれます)

給料や税理士報酬は、満額を振り込まない

法人成り直後に非常に多いのが、給与や税理士など個人への報酬を、そのまま満額で振り込んでしまうミスです。

源泉徴収の対象となる支払いでは、会社は支払時に所得税を差し引かなければなりません。
つまり、相手に支払う金額は、請求額や支給額そのままではなく、源泉所得税を控除した後の金額になります。

これは、役員報酬や従業員給与だけでなく、税理士など個人への一定の報酬でも同じです。
請求書どおりにそのまま振り込んでしまうと、後から会社側で調整が必要になることがあります。

法人成り直後は、経営者自身が振込処理をしていることも少なくありません。
そのため、支払前には必ず

  • この支払いは源泉徴収の対象か
  • いくら差し引くのか
  • 実際の振込額はいくらか

を確認することが大切です。

外注費はすべて同じではない|納期の特例の対象外に注意

ここも、法人成り直後に誤解されやすいポイントです。

注意したいのは、源泉徴収の対象になる報酬と、納期の特例の対象になる報酬は同じではないということです。

たとえば、給与や税理士などへの一定の報酬は、納期の特例の対象になります。
一方で、源泉徴収の対象になる支払いの中には、納期の特例の対象外となるものがあります。

その代表例が、原稿料や講演料などです。
こうした支払いは源泉徴収の対象でも、原則どおり翌月10日までの納付が必要です。

また、デザインや制作などの外注費も、内容によって判断が必要です。
「外注費だから全部同じ」「全部まとめて年2回でよい」と考えるのは危険です。

実務では、外注費について次の2点を分けて考える必要があります。

  • そもそも源泉徴収の対象か
  • 納期の特例の対象か

この2つは別問題なので、一緒に考えないことが大切です。

非居住者との取引は、通常の源泉徴収とは別ルールで考える

海外在住の個人や外国法人との取引がある場合は、さらに注意が必要です。

非居住者への支払いは、通常の国内の源泉徴収とは別ルールで確認しなければなりません。
「海外の相手だから日本の源泉徴収は関係ない」とは限らず、国内源泉所得に該当するかどうかなど、別の観点で判断が必要になります。

そのため、非居住者との取引がある場合は、国内の給与や税理士報酬と同じ感覚で処理しないことが重要です。
契約前や支払前の段階で、税務上の確認をしておいたほうが安全です。

まとめ|法人成り直後は「申請・納付・支払額」の3つでミスを防ぐ

法人成り後の源泉所得税で大切なのは、制度を広く覚えることよりも、最初にミスしやすいポイントを外さないことです。

特に、次の3点は必ず押さえておきたいところです。

  • 納期の特例の申請書はできるだけ早く提出する
  • 7月10日と1月20日の納付を忘れない
  • 給与や税理士など個人への報酬は、満額ではなく源泉所得税控除後の金額を支払う

さらに、外注費は一律に扱わず、納期の特例の対象かどうかまで確認すること、非居住者との取引は別ルールとして慎重に判断することも重要です。

法人成り直後の源泉所得税は、初動で仕組みを整えておくだけで、その後のミスをかなり防ぎやすくなります。
設立直後の段階で、申請・納付期限・支払時の控除をセットで押さえておきましょう。

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